2019年08月28日

漢方の誤薬投与について…

kanpo190826.jpg

何故に…漢方薬の誤薬投与が多いのか?ということを
実際に臨床をしていて、ため息の連続です。

ーーー

ある患者さんのケース
近医で処方されていた漢方薬が合わない、と来院される患者さんも多くなってきました。

処方内容は、六君子湯と補中益気湯でした。

診察をしてみると胃腸虚弱もなく柴胡剤の適応でもない状態です。
これでは六君子湯でも補中益気湯でも…毒薬になります。

その医院のホームページを見ると漢方外来のことが書かれています。
ホントなのかな?

ーーー

多分、六君子湯と補中益気湯が対応する身体が分かっていないんでしょうね。
残念ですが…柴胡剤の補中益気湯の適応でもなく、六君子湯の胃腸虚弱の状態でもありません。
と、すれば、六君子湯と補中益気湯は漢方で言われる所の「誤治」になり毒薬です。

この漢方治療での把握の状態で漢方処方をすることに関しては…
まず漢方の古典とされている「傷寒論」の意味合いへの理解が必要なのですが。。。
傷寒論自体が分かっていないんでしょうねぇ。漢方薬を使うのならば勉強しなくてはなぁ!

自分が診察をすると胃弱に胃熱があり…
柴胡剤である補中益気湯の適応はありません。
加えて六君子湯では胃腸を温める一方で熱を取る力がないため、
この六君子湯だけ使えば胃熱が強くなります。

すなわち…漢方治療的には漢方薬を扱っている医師がしてはいけない大きな誤治です。
こんな現状に憂いているのが今の診療をしていて感じる現実です。

ん〜〜〜
確かに、柴胡剤と黄連剤の適応の区別は一般の感覚では難しいのかも知れません。
一方の自分の診察では柴胡剤と黄連剤の違いを判別することは身体に触らなくても分かります。
右に熱が強ければ柴胡剤であり、左に熱が強ければ黄連剤なのですから難しいことはありません。

漢方医学がどの様なものであるのかが分からないのならば…
全国的にも同じなのでしょうから…それなりの情報発信をする必要があるのかも知れません。
自分が、その様なことへの存在理由になるのかも知れませんよね。

他院に受診している9割方の患者さんの漢方処方を見ると…ため息の連続です。
自分が傷寒論を手にしたのは18才の時でした。概略が理解出来たのは30才以降です。
簡便なことは…時間に耐える力がありません。
一方では年月をかけて努力したことは…時間に耐える力があります。

余りにも簡便さを求める医療関係者を見ると…
ため息の連続です。ホント、ため息しかありません。(´ヘ`;)ハァ

PS:未来を見ているのは音楽を聞くと分かります。
  この様に人を大切にする心が新しい医学を作る原動力になると考えています。

posted by 杉幹雄 at 04:38 | Comment(0) | 講演用意

2019年08月21日

何故に太陽病に「麦門冬湯」なのかぃ?

bakumonndou.jpg

咳が強いと「麦門冬湯」を病名投与をしているケースがやたら多い。
この麦門冬湯の薬理機序を把握することが先決なのでは?と思いますよね。

「気道感染症による咳嗽」とのことですが…果たして???
麦門冬湯を処方され逆に咳嗽が酷くなり当院に来院する患者さんも多いのが事実。

麦門冬湯の処方構成は以下の通りになります。
麦門冬10.0;半夏・粳米各5.0;大棗3.0;人参・甘草各2.0

この処方を構成を見ると麦門冬湯の効能が見えてきます。
麦門冬(水):胸を潤す薬草で、実際に麦門冬だけ飲めば痰が多くなることが分かると思います。
半夏(気):半夏は胃の気剤として使われます。咳はお腹と胸の気の流れが途絶することにより起きるからです。
硬米(血):硬米は玄米です。如何に体力が落ちているかが分かると思います。
大棗(気):大棗は腸の気剤です。その気剤に人参が入っていることは腸が冷えていることを物語ります。
人参(血):腸で血を作ろうとするのが人参の役割で腸を温める作用があります。
甘草(太極):上記の薬草をまとめようとする力があります。

この様なことから「麦門冬湯」の姿が見えると思います。
麦門冬湯の適応は太陰病に入ると考えるのが妥当です。
少陰病は表虚であり、太陰病は裏虚になります。ちなみに厥陰病は表裏共に虚です。

一般の言葉で話すと…麦門冬湯はお腹が冷えて腹力がない状態になっている筈です。
胸郭に囲まれた肺は、お腹の力が衰えてベッタンコになろうとも健常時の大きさを維持します。

胸腹バランスを考えてみれば、お腹が冷えて胸が熱い状態ですので…
当然に胸の熱をお腹に合わせようとして痰が多くなり、胸を冷やそうとします。
この場合に使う処方が「麦門冬湯」です。

ところが…咳が強いだけで「麦門冬湯」という処方が多いのが現状の様です。
この麦門冬湯を少陽病や太陽病に使ったら、病状は悪化します。

なんで…この様な大切なことが分からないのか?
それは薬草の性格と、その薬草の性格から見える処方の性格を知らないからに他なりません。
漢方薬を使うのならば漢方処方の特性をしっかり理解して使うべきです。
それが出来ないのならば…一般薬を使うべきです。。。

この様に今の漢方治療は危機的な状態です。
これより先、自分なりに理論的に傷寒論を解説していこうと思います。
今はクリニックのホームページをモバイルサイトでも見られるサイトに変更中です。

ss001---DeskTop.jpg

それが終わったら、研究サイトを立ち上げ西洋的な理論物理や理論数学を駆使して
漢方だけでなく…病気の本当の姿をお見せしたいと考えています。

PS:マイケルはKiNGだよなぁ。凄いと思うな。

posted by 杉幹雄 at 23:04 | Comment(0) | 講演用意

2017年07月17日

東洋医学からみた皮膚病

hifubyou01.jpg

夏に入り汗がでてくるため皮膚病が多くなります。
ん〜〜〜この写真は帯状疱疹らしき感じもあるんだけど。

一般的には抗アレルギー剤とステロイド軟膏なんでしょう。
それでも一時は軽快するのですが、薬をやめると再燃します。

この理由って何かな?
東洋医学的な基本的な皮膚病の考え方としては…
「身体の中の臓器の鬱血を皮膚に逃がしている」状態です。

例えば、アトピーの患者さんたちの内臓は丈夫です。
それは内臓の熱を皮膚に逃がす道ができているからです。
患者さん本人にしてみれば痒いし、とうにも眠れない、外見も悪い。

上の写真の人には肝臓と脾臓の部分の上に湿疹がでています。
この患者さんは肝臓や脾臓の鬱血が強いことを物語っています。

抗アレルギー剤はかゆみ止めで良いとは思います。
一方では肝臓と秘蔵の鬱血を取る治療が必要です。
こんな考え方は一般医療にはありませんが…漢方治療をしていて感じます。

いま鍼灸師の先生が漢方治療を受けにいらしています。
首と目の周りに強い発疹が出ています。
それに対しては首の湿疹を出しやすい胃熱を取る漢方薬
それに加えて目は血熱が強いと腫れやすい特性があり、それを取る漢方薬
そんな漢方薬を投与して症状は軽快。

こんなことから…
知り合いのニキビで困っている患者さんを連れてきました。

病気を敵視すれば…湿疹は人間を苦しめる「悪」です。
でも内臓の鬱血を外に出そうとする考え方をすれば、湿疹は「善」です。

病気の捉え方で治療方法が大きく異なります。
こんなことを医療関係者に感じて貰えたらと良いなと思います。



いまでは飛行機が飛べることは当たり前なのかも知れません。
でも…「巨大な鉄の塊が空を飛ぶことができる」と思い続けた人がいたから
それが現実になっています。

だから…医療でも「きって新しい医療ができる」と思い続けて
少しずつでも前に歩んで行きたいと思います。
posted by 杉幹雄 at 07:27 | Comment(0) | 講演用意

2017年05月19日

めまいに「苓桂朮甘湯」かぁ…本当かぃな???

Kampoekisu.jpg

ツムラの苓桂朮甘湯です。

ん〜〜〜
ツムラの苓桂朮甘湯の組成は

ブクリョウ 3.0
ケイヒ 2.0
ソウジュツ 1.5 (本来はビャクジュツ 1.5)
カンゾウ 1.0

ここで一つ疑問が「なぜ白朮でなくて蒼朮なのか?」
似ているかもしれないけど…同じではない。
ここいらはツムラさんにも考えてもらいたいかな〜。

漢方エキス薬のトップメーカーなんですから。。。
(・_・ゞ−☆


ryoukeikotaro.jpg

こちらはコタローの苓桂朮甘湯です。

コタローの苓桂朮甘湯の組成は
ブクリョウ  6.0
ケイヒ    4.0
ビャクジュツ 3.0
カンゾウ   2.0  で原典通りの処方をしています。

製造メーカーによって
異なって来るのが興味深いですよね。
(゚゚)(。。)(゚゚)(。。)ウンウン


さて…めまいの専門病院で
この「苓桂朮甘湯」を処方された、という患者さんが多いのが実情です。

処方投与の前に、この処方の意味合いを理解しているのでしょうか?
この処方の保険適応病名は沢山あります。

立ちくらみ、めまい、頭痛、耳鳴り、動悸、息切れ、神経症、神経過敏などです。

はて…どんな風に患者さんの身体に合わせていくのか?
ということですが…どの病名が正解でどれが間違いかは記述されていません。


漢方の基礎理論に「気・水・血」理論があります。
加えて苓桂朮甘湯の処方構成をみれば、気と水に関係する薬草で構成されています。

ケイヒおよびビャクジュツが気に属する薬草です。
ブクリョウが水に属する薬草です。
カンゾウは太極であり…薬剤のとりまとめをしています。

ビャクジュツは下腹部あたりの気剤です。
ケイヒは表である皮膚に対する気剤です。

と、すれば、この処方の気剤は表と裏の気の巡りを根底においています。
その間の水気を取り除くためのブクリョウを入れた漢方薬であることが分かります。

傷寒論的にいえば…
お腹から胸に何かがつき上がっている「奔豚」という状況になります。


さて…ここで大きな問題があると思います。
「気・水・血」理論によれば…気の停滞によって水分貯留の体内偏位が生じます。
このときに苓桂朮甘湯の効果の範疇に入らないのが「血」の部分です。

いまの世の中の食生活で…
気と水だけに属する病態があるか?といえば殆どありません。
食生活が良い訳ですから…そんな軟弱な身体をしている人は滅多にいません。

血が貯まって(充血)、その充血を解除しようとして水が引き寄せられるのが
今の人の身体の一般的傾向です。苓桂朮甘湯をつかうならば血熱がある場所を
特定して他の漢方薬を併用しなくてはほぼ治らないと言って良いと思います。

漢方薬の病名投与では…治っても3割以下です。
漢方薬の薬草組成をみて処方の方向性を理解する以外、正解への道はありません。

何故か?と言えば、漢方薬が出来た頃、
現代医学の病名はなかったからです。
漢方薬が保険適応になったことは素晴らしいことです。

一方…真実を知らないで漢方薬の処方をする医師が多いこと。
それが、ある病気の専門医でも…漢方薬の病名投与に終始しているのが現状です。

これでは…
漢方薬の本当の意味合いが…漢方薬の本当の重要性が…
何も分からないと危惧してしまいます。
(T_T)(T_T)(T_T)

どうにかならないかなぁ。。。
そんなことを感じています。


彼らは行動することの大切さを教えてくれているのかな。
ん〜〜〜人間は行動するからこと、価値があるのかも知れないですよね。

posted by 杉幹雄 at 23:38 | Comment(0) | 講演用意

2015年02月16日

何度も風邪を繰り返すんですけど…

kaze0021.jpg

風邪を何度も引いているのは…
自分の身体がおかしいんでしょうか?

なんて言うことを
話される患者さんが多いのですが。。。


風邪は季節の寒暖の波に
身体がついていけないときに起きる現象です。

身体に余裕がある人はかからないんです。

風邪の治療法として良く言われるんですけど
1に睡眠
2に栄養
…最後が薬なんでしょうね。

現代は忙しくて休みがとれず
また精神的にもストレスが大きくて
休みに気持ちを発散させるために外出。

一方では身体の疲れはとれない。

そんな人が風邪になりやすいだけです。

高血圧症や高脂血症、糖尿病などは
生活習慣病として定義されていますが…

風邪を何度も引く人も生活習慣を
ご自分で見直すことが大切だと考えています。



急に懐メロになってしましました。
でも…愛燦燦は良い歌ですね。。。
posted by 杉幹雄 at 01:01 | Comment(0) | 講演用意