2020年03月11日

漢方医学から解析したコロナウイルス感染症状

コロナウイルス.jpg

このコロナウイルスとインフルエンザウイルスの違いを
漢方医学の観点から比べてみたいと思います。

漢方医学の原点とも言える傷寒論の病期には6つに区分されています。
太陽病→少陽病→陽明病→少陰病→太陰病→厥陰病(→死)

この傷寒論は感染症が多発した村で治療を行ったと思われる医師
張仲景によって書かれています。今から2000年前です。

傷寒論序文は以下の様な文章から始まります。
「宗族素多,向餘二百,建安紀年以來,猶未十稔,其死亡者三分有二,傷寒十居其七」
 以上の漢文を訳すと…
「自分の一族は200に余る程であったが、建安(と言う年号)に入ってから
10年も経たないのに、死亡するものが3分の2になり、その中での7割が傷寒だった。」

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(大塚敬節先生 傷寒論解説 序文)

つまり伝染病の治療方法が傷寒論という本に書かれてあるということです。
この本は平安時代には日本に入ってきており、江戸時代の医学を支えた本になります。この本の特殊性は簡潔であり、風邪による病態変化を経過により繊細に書かれている点にあります。

ただし非常に難しい内容で、自分が手に取ってから何となく分かるまで10年。
その医学的内容の応用が出来るまでには、あと10年(合計20年)が必要でした…(・・;)。
この本は全体を把握しないと、部分的に読んでも内容が分からない様な本です。
加えて…漢文です(T.T)。自分は漢文や英語は学校を卒業してから学び直しました…(^^ゞ。

それでは…
この傷寒論の考えを利用してインフルエンザとコロナウイルスを解析してみます。

インフルエンザの場合には「太陽病期にて症状を出すウイルス」です。
1週間もすれば、何もしなくても去ってしまうことから推測できます。

一方の新型コロナウイルスは「少陽病期にて症状を出すウイルス」になります。
感染して発病し4〜5日後に症状が悪化することから、太陽病のウイルスではありません。
次の病期の少陽病が中心で、陽明病も加わっているのかも知れません。

外来診療ですので、肺炎になっている患者さんを診る機会も多いのですが…
太陽病期で肺炎になることは、まずありません。少陽病期に肺炎の発病が多いのが事実です。

ここが次の医学への鍵に他なりません。

少陽病は実質臓器の充血が顕著です。
傷寒論は江戸時代の医学で古い医学ということに関しては間違いありません。
しかしながら、現代医学が持たない視点を持ち、その視点を利用すれば…
実質臓器の充血を取ることにより肺炎の悪化を防ぐことが出来ると推測できます。

※※※
追加:2020/03/14〜3/16
新型コロナウィルスの漢方薬治療として、お隣の国では「清肺排毒湯」なるものが使われている様です…患者さんから教えられました。
薬草構成:麻黄9g 炙甘草6g 杏仁9g 生石膏15-30g(先煎) 桂枝9g 沢瀉9g 猪苓9g 
白朮9g 茯苓15g 柴胡16g 黄芩6g 姜半夏9g 生姜9g 紫苑9g 冬花9g 射干9g 
細辛6g 山薬12g 枳実6g 陳皮6g 藿香9g wikipediaより

この処方構成から考えると…やはり少陽病と陽明病が中心になっている状況を物語るものだと考えます。五苓散が含まれているのは熱を取る時にでる水分バランスを整える考えを入れている様な感じかな? 冬花・射干・紫苑を入れているのは呼吸器症状緩和のため保険生薬では使えない薬草を使っている感じ。炙甘草を入れるのは急迫症状解除と薬草の結びつきを強めたい目的があるのかな?と感じます。すなわち呼吸器症状を緩和する効果は強いのだろう…と考えることは出来る処方かな。こんな感じで「処方される薬草構成から病態を考えて行くのが妥当」と教えるのは「傷寒論」の解析で知ったことに他なりません。

この様な処方をみて保険漢方ならどうすべきか?
ん〜〜〜コロナウイルス感染症では両肺の肺炎が起きることが多いことからすれば、柴胡(肝臓)だけに充血がある肺炎は少ないに違いない…多分、黄連(脾臓当たり)に充血があるものと推測され柴胡剤だけでは足りないように思われる。このことから処方は基本的に…少陽病の実質臓器の熱と陽明病の管腔臓器の熱を取ることに他ならない。とすれば…柴陥湯・麻杏甘石湯・香蘇散・五苓散当たりになるのかな? 少陽病の実質臓器の熱と陽明病の腸熱を取ることを主体とすれば、後は一般薬の併用でも良い様な感じもします。
※※※

自分は現代医学も良い部分も多いと感じ、一般薬も普通に使っています。
また漢方医学的な視点も重要で、漢方薬も必要なら併用します。

折角、そんな考えの医学を残している国なのですから…それに気づくこと。
そんなことが大切に思われてなりません。

前回の記事に書いた様に「ウイルスの必然性」は顧みる必要があります。
ウイルスがいなければ…地球上に人間が生まれなかったのかも知れない。
もっと「ウイルスが何をしているのか?」を考える必要があると考えざるを得ません。
ウイルスが地球環境を守っているという視点もあるのでは?

PS:ん〜〜〜
感染する人を防ぐことに対しては、国の考えと行動には正しさを感じます。
一方の医療研究では…そんなにウイルスが怖い存在なのか?を確認する時代に来ているのでは?
そんなことを感じます。ウイルスに対する必要条件の解析を急ぐことも重要だと。
それを実証し政府に伝え、感染症がどんなものであるか?を世界に発信する。
そんな日本になって欲しいですねぃ!(^_-)ネッ

さて…
大病院の勤務医だったときに「先生ってトトロみたいね」とトトロのぬいぐるみを看護師さんから頂いたことがあります。 やはり「となりのトトロ」みたいな生き方が良いかなぁ〜(笑)。


posted by 杉幹雄 at 08:22 | Comment(0) | 東洋医学

2019年11月17日

病気の運動は難しく考えるほど難しくなる

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東京国立博物館より 鍼灸練習用の「銅人形」

今日は鍼灸師さんのご主人の身体の調子が悪いとのことで
来院された患者さんを診ての感想から記事にします。

この記事は鍼灸師さん用になるのかな?
医師が読んでも…病気の違った見方を見つける切欠にはなると思います。
患者さんには鍼治療の意味が分かるのでは?と思います。

鍼灸用の「銅人形」は…
経絡や穴(つぼ)の位置を把握する教育道具として使われてきました。

目を隠して、銅人形を触り穴の位置を正確に探す道具です。

この銅人形を作ったのは…おそらく…
「後世に鍼治療を繋げること」を目標に制作された?と
自分個人的には考えています。。。

鍼治療の根幹は体表面の気の流れを良くする治療です。
気の停滞部位に鍼を刺すと、気の流れが確認出来ます。

この様な事実から考えると…
銅人形を作った人は、体表面の気の流れを感じられる人です。

人間の世界が物質により豊かになるに従い…
本来持っている人間の天性の感性を失ってきています。
それを分かって…銅人形を作り上げたのでしょう。

鍼治療の根幹に関しては…経絡も穴もほぼ関係ありません。
気の流れをつける治療ですので、気の停滞部位を把握できれば
そこに鍼を打つだけで身体は良くなります。

難しいことはないのでは?
言葉を発しない身体と、赤ん坊の時の様な無為の心で対面し、
その病状を出している真意を把握すること。
そこには経験や知識は邪魔です。。。

身体との対面は、何の知識も要求されず
ありのままの姿を赤ん坊の時の視点で見つめることに尽きます。
そこで気づいたことに知識や経験を合わせていく。

そんな視点で身体を見つめると…
新しい医学に繋がり、日本が先導する新しい医学が作れるに違いない!
そんなことを思います。
うん(^_^) うん(^_^)

PS:シルクロードを聞くときに中国の医師の姿が浮かびます。
鍼や漢方薬の薬草を担いで患者さんの家までの道を歩いている医師の姿。
とても…医師の本来の姿ですよね。


posted by 杉幹雄 at 09:09 | Comment(0) | 東洋医学